気象データと野菜の生育を比較・考察、農業教育とIT教育の融合プロジェクト~アグリセンシング

気象を調べながら、野菜を育てる

アグリセンシングは、「気象を調べながら、野菜を育てる」事をテーマに、理科教育と農業教育を融合するプロジェクトです。
農家や農業関係者との交流にもつながるので、地域活動や菜園起業のやり方を学ぶ事にも役立ちます。



アグリセンシングの概念図

アグリセンシングでは、次のような3つの活動を行います。

活動の第一は、気象データを調べ、解析する事です。
気象データを調べる事には、自分で気温等を測定することと、
気象庁のデータベースなどからダウンロードする等、既存の測定データを
活用することの両方が含まれます。

得られたデータを元に解析を行い、その年の気象パターンの特徴を理解します。

活動の第二は、野菜の生育状態についての学習です。
これには、自分自身で育てて観察することと、農家の人等からお話を聞く事の両方
含まれます。

活動の第三は、気象データと野菜の生育状態を比較して、レポートをまとめ、発表する事です。

アグリセンシングは、学習活動を基本にしていますが、
農家の人からお話を聞いたり、レポートをまとめて発表する等、
「コミュニケーション」の要素が含まれているため、

地域活動のトレーニングにもなります。

「農」の世界との接点や対人折衝の機会が得られるので、
農業やビジネスの経験がない人が、菜園起業のやり方を
学ぶプログラムとしても有効です。








野菜の生育期間を通じて必要な気象条件を理解する道具

2016/09/25 23:22 に 博康増山 が投稿   [ 2016/09/25 23:24 に更新しました ]

最高気温の年間変化と菜園で使える近似式づくり(その2)です。

気象庁のデータベースからは、

地点、期間、項目等を選んで、
過去の気象データがダウンロード出来ますが、
その際、「平年値」を一緒にダウンロードすることも出来ます。

平年値は、過去30年間の平均値で
ふだんの年は、この季節なら、このぐらいの気温や降雨量になるはず
と言う目安になる値が分かります。

1年分の気象データをダウンロードする時、
一緒に平年値もダウンロードする事と
野菜の生育と気象の関わりを考える手がかりになります。

例えば、
ふだんの年なら、7月初めにニンジンの種をまいたら、
12月ぐらいに収穫出来るようになると言われているけれども、

その間の最高気温の積算値が3000℃なら3000℃だとすると、
では、8月にまいたらどうだと言われているか?
5月にまいたらどうだとされているか?

ニンジンは、いつまいても、積算3000℃ぐらいで収穫できるものなのか?
違うとしたら、7月まきと5月まきでは、どういう風に条件が違うのか?

と考察を進めていく事ができるわけです。

つまり、気象条件と野菜の生育の関係を考えると言う場合、
ともすれば、今年は暑いからニンジンがよく育ったとか、育たないとか、
そういう事に目を奪われがちですが、

その前に、そもそも、ニンジンならニンジンの生育期間があるわけで、
その生育期間の間、
どういう気象条件が必要なのか?

と言う事について理解を深める道具が、
「平年値」なのです。

最高気温平年値の年間変化(さいたま地方)


最高気温の年間変化と菜園で使える近似式づくり(その1)

2016/09/21 0:09 に 博康増山 が投稿   [ 2016/09/21 0:10 に更新しました ]

ソメイヨシノの開花の予測では、
立春以来の最高気温の積算値が600℃に達した日が
目安とされているそうです。

ナスやトマトも花が咲いて実るわけですから、
野菜の収穫予測も、種まき、あるいは植付からの
最高気温の積算値を一つの目安になるかもしれません。

こうした「目安」の設定は、
例えば、中学生や高校生を対象に、
野菜の生育と気象条件の関係を
ITを使ってシュミレーションするような学習を
する場合も、
役に立つでしょう。

「最高気温の積算値」のような目安を
設定してみて、
スプレッドシート(表計算アプリ)を使って
あれこれ計算してみて、

実際の野菜の生育と比較考察してみる
と言った学習の進め方が考えられます。

こうした学習を進める上での
基礎的な情報として、
そもそも、自分のいる場所の最高気温は、
年間を通じて、どういう風に変化しているのか?

と言った事を把握しておくのも大切なことです。

また、今の時季、あるいは今から一ヶ月後、二ヶ月後の
最高気温がどうなるか、
大雑把で良いから、
菜園で思い起こしながら、
野菜の生育を観察してみると言った事も
学習の中では求められるかもしれません。

そこで、ある時季の最高気温を
「大雑把に」求める近似式と言うのを
考えてみました。

近似式づくりは、
まず、最高気温そのものの年間変動の把握から始まります。

この把握の第一歩が、
気象庁のデータベースにアクセスして、
気温のデータをダウンロードすることです。


(次回は、ダウンロードしたデータを使って、
近似式の作る方法を順次解説していきます。)

クラウドの最高気温積算値自動計算ツールでする気象データと野菜の生育を比較する試み

2016/09/05 2:31 に 博康増山 が投稿   [ 2016/09/05 2:34 に更新しました ]

グーグルアプリケーションの一つ、グーグルスプレッドシートには、
「Filter」と呼ばれる関数があります。

このFilter関数を用いると、ある時点からのある時点までの気温の積算値を
自動計算させるツールを作ることが出来ます。

今回はこのツールを用いて、気象庁データベースからダウンロードした気温データを自動計算し、
コマツナやキュウリの生育と比較してみました。

以下、最高気温の積算気温を「積算気温」と表記しています。
また、グラフはいずれも気象庁データベースからダウンロードしたデータを元に作成しています。
さいたま地方、最高気温積算値の推移、6月11日起点
6月11日、かわぐち菜園クラブの会員Aさんが、コマツナとキュウリの種まきを行いました。
どちらも、マルチと呼ばれる黒いポリシートを地面に張って種まきをして、
寒冷紗と言う白いネットを張って、育てました。

コマツナは、7月1日頃から収穫が可能なぐらいな大きさに生長しました。
この時点での積算気温は、681℃でした。

一方、7月3日にやはりかわぐち菜園クラブ会員Bさんが、コマツナの種まきを行いましたが、
7月23日頃、収穫適期に達していることが確認されました。
この時点での積算気温は、629℃でした。

実際には、Aさん、Bさんとも、収穫適期に来場出来ず、
Aさんは、7月31日に収穫を実施し、この時点での積算気温は、1482℃でした。
Bさんも、7月31日に収穫を実施、この時点での積算気温は、870℃でした。

また、かわぐち菜園クラブ会員Cさんは、7月17日にコマツナの種まきを行い、
積算気温675℃に到達した8月7日に収穫適期を迎えました。

実際の収穫は、8月14日に実施、この時点での積算気温は、
901℃でした。

6月まきしたAさんと、7月まきしたBさん、Cさんのコマツナの様子を比較してみると、
Aさんの小松菜は、7月1日に、
比較的市販品の小松菜に近い形状に育っていました。

収穫を実施した時点では、かなり大きく育ち過ぎていましたが、
市販品の小松菜が育ちすぎたような形状になっていました。

一方、Bさん、Cさんが種まきした小松菜は、
「収穫適期」と見られた時季、葉が淡い色をしていて、
葉数は市販品の小松菜より少なく、葉の厚みも薄いような形状でした。

Bさん、Cさんが育てた小松菜については、
これ以上、育て続けると、むしろ、暑さで葉が蒸れたりして、
「ヘタった」ような状態になることを懸念して、
収穫するなら、今と言う意味で
「収穫適期」が判定されており、

必ずしも、市販品の小松菜のような状態になっていたわけではありません。

Aさんが小松菜を育てていた時季、
種まきから収穫期まで、1日平均29.6℃のペースで気温が積算されていましたが、
Bさんが小松菜を育てていた時季には、31.4℃、
Cさんが育てていた時季には32.1℃の
ペースで気温が積算されており、

より早い速度で積算気温が上昇していました。
Bさん、Cさんが育てた小松菜は葉数が増えるよりも、
一枚一枚の葉が大きくなる速度が早く、
「若葉」が大きくなったような状態で、
見かけ上、市販品程度のサイズになったものと思われます。

なお、Cさんからは、炒めて、食べてみたが、苦かったとの
報告が寄せられています。

葉の枚数や厚さはともかくとして、
Aさんの場合でも、Bさん、Cさんの場合でも、
積算温度が600℃台になった時点で、
見かけ上のサイズが、市販品の小松菜に近い大きさになった
ことは共通しています。

また、夏場は、一日に約30℃のペースで積算気温が上昇していくため、
「収穫適期」と判断された時から1週間後には、
積算気温は、800℃~900℃に達しており、
「育ち過ぎ」、「蒸れ」、「ヘタレ」等の現象が生じやすいとも考えられます。

さいたま地方、最高気温積算値の推移、7月3日起点
キュウリについて見てみると、Aさんが種まきしたキュウリは、7月1日頃から、小ヅルが伸び、
花を咲かせていることが観察されました。

実際に、収穫を始めたのは、7月31日で、この時点での積算気温は、1482℃でした。
一方、7月17日にかわぐち菜園クラブ会員のDさんが、キュウリの種まきを実施しましたが、
8月28日に花が咲いていることが観察されました。

更に、9月4日、キュウリが実っていることが観察されました。この時点での積算気温は、
1521℃でした。

Aさん、Dさんとも積算気温約1500℃付近でキュウリが実り始めた点が共通しています。


さいたま地方、最高気温積算値の推移、7月17日起点

Filter関数を用いて、日付を入力すれば、積算気温が自動計算されるツールを作っておくと、
次から次へと、種まき日や収穫日を入力して、
種まきから収穫までの積算気温、及び積算気温の一日あたり上昇ぐあいを計算させることが
できるため、
以上のような比較考察を効率よく進めていくことが出来ます。

こうした関数の活用法をIT教育のテーマとして取り上げ、
今後とも、IT教育と農業教育、環境教育の融合を進めていく取り組みを進めていきたいと思います。

気温積算値の自動計算の試み

2016/08/27 0:49 に 博康増山 が投稿   [ 2016/08/27 0:50 に更新しました ]

アグリセンシング(農業のための気象データ活用プロジェクト)は、
農業教育とIT教育の融合と言う側面も持っています。

クラウドで表計算アプリを使ってみることで、
こんなことがわかる、出来ると言う事を
中学生や高校生に理解してもらい、

関数やプログラミングに関心を持ってもらう事も
目的の一つです。

現在、菜園クラブでは、フィールドワークの手はじめとして、
農家さんやかわぐち菜園クラブでの野菜の生育状況と
最高気温の積算値を比較する事を進めていますが、

こうした比較分析それ自体を
IT学習の題材にも使えるように、
関数を使った自動計算のサンプルを考えて見ました。

グーグルがクラウド上で公開している
グーグルアプリケーションの一つ、
グーグル・スプレッドシートには、
「Fliter」と呼ばれる関数があります。

このFilter関数を用いると、
起点と終点の日付を指定すると、
その間の積算気温を自動的に計算してくれます。

また、終点に至る時まで、
日々、積算気温がどう推移してきたかも自動計算してくれます。

計算結果から、グラフも生成できます。
積算値の上昇率も自動計算してくれるので、
野菜が低温でゆっくり育ったのか、
高温で急速に育ったのかと言う経過もわかります。

実際に野菜を育てながら観察をしてみると、
ゆっくり育つ場合と急速に育つ場合の違いも
わかると思いますので、

野菜の「旬」のような事がなぜ生じてきているか
を理解する手がかりにもなります。

IT教育の側から考えてみると、
表計算アプリの関数を活用することで、
「旬」のような現象を理解する手がかりが得られる
と言う風に、

具体的な事がらとクラウドやアプリの利用を結びつけて
考えることができるので、

関数のようなIT技術を学ぶ動機づけとして
用いることができると言えるでしょう。

気温積算値の自動計算サンプル

さて、今回は、「Filter」と言う関数を用いて、
気温の積算値を自動計算してみましたが、

例えば、2月4日から6月30日までと言うように、
起点と終点を指定しても、

グラフを作る場合には、範囲を手動で指定してあげないと
起点から終点までのグラフを作ることが出来ません。

データを入力して、起点と終点を指定すれば、
それに自動対応してグラフが出来るようにするためには、

「関数」の活用だけでは不十分で、
「スクリプト」を学ぶ必要が出てきます。

こうしたことも、ここまで学べば、こういう事ができる、
更に、こういう事を学べば、それ以上に、こういうことも出来るようになると、
IT学習を進めていく動機付けに使えるかもしれません。

次回はスクリプトを用いた自動グラフ生成のサンプルを作ってみたいと思います。

フィールドワークと合わせ、IT学習の教材化を進めていきたいと思います。

2月まきニンジンと5月まきニンジンの生育を比べる~気象データとの比較から見えてくるもの

2016/08/25 20:53 に 博康増山 が投稿   [ 2016/08/25 20:54 に更新しました ]

ニンジン収穫期に


川口・江原農園さんのニンジンが収穫期を迎えています。
地元野菜宅配サービス・野菜のマイクロマーケットでも、供給開始予定です。

野菜のマイクロマーケットでは、6月から7月にかけて
2月まきのニンジンを供給してきましたが、
その後、供給が途絶えてきました。

1ヶ月ぶりぐらいの供給再開です。

江原農園さんによると、今回供給開始するニンジンは、
5月の連休前ぐらいに種まきしたとのこと。

5月から今までの気象データと
2月から6月にかけての気象データを比較してみると、
いくつか興味深いことがわかってきました。

まず、5月初めからニンジンの出荷が始まった8月半ば頃までの
最高気温の積算値は約3000~3100℃程度です。

これに対して、2月まきニンジンの出荷が始まった5月末、
最高気温の積算値は、約1900℃程度でした。

この頃はまだ細いニンジンが多く、
太めのニンジンが供給できるようになってきたのは、
最高気温の積算値は、約2500℃程度でした。

2月はまだ寒いため、地温をあげるため、
マルチと言うポリシートを地面に張って
種まきが行われ、収穫期まで、
マルチがずっとはられていました。

マルチを張った方が、
同じ気温でも、地温は高めになると思われます。

仮に、マルチを張って育てた場合、最高気温積算値2500℃程度、
張らない場合、3000℃程度で太めのニンジンが収穫出来る、

それより500℃ぐらい低めの状態では、太りだしたばかりの
細めのニンジンが収穫出来ると言うようなことが
言えるとすると、

その年の天候から、ある程度の収穫予測も可能になります。
また、農家さんの方でも、周年栽培(季節を問わず、同じ野菜を育てていただくこと)
を検討しやすくなるでしょう。

野菜のマイクロマーケットのような
地元野菜の供給サービスでは、
旬のお野菜しか、提供することができません。

飲食店さんが利用する場合、

供給が始まったと思ったら、
終わってしまうので、
ゆっくりメニューを考えている時間がない等の
課題があると思われます。

ある程度の収穫予測等ができるようになれば、
少し前から、
例えば、「8月末頃から9月初ぐらいからニンジンの提供が可能になります」
とか、
「6-7月、及び8月末ぐらいからニンジンが提供できます。8月いっぱいは品切れになりやすいです」

等の情報を飲食店さんに提供出来るようになっていくかもしれません。

また、先にも述べたように、
農家さんにも情報提供して、
出来る限り、周年栽培を追求するお役に立てていただくことも
可能になるかもしれません。

もちろん、ニンジンならニンジンについて、いろいろな季節、いろいろな年の
生育データを見てみないと、
最高気温の積算値2500℃程度で収穫可能になるかどうかも
確実には言えないですし、

雨量など、他の要素についても考察する必要があると思います。

かなり長期的な取り組みになると思われますが、
今後とも、野菜の生育状況と気象データの比較を続けていきたいと
思います。

最高気温積算値の推移、さいたま地方5月~8月

最高気温積算値の推移、2月~6月

グラフは気象庁データにより作成

8月まきのタマネギは2週間で発芽。

2016/08/21 22:52 に 博康増山 が投稿   [ 2016/08/21 23:00 に更新しました ]

たまねぎは夏に種まきして秋に植え替えます。
今年のかわぐち菜園クラブ、8月7日に会員の皆さんと一緒に種まきしてみました。

種まき直後、ちょっと日照りの時も続いたので心配しましたが、
2週間後の8月21日、無事に発芽を確認しました。

美味しい玉ネギできるといいですね。

種まきから発芽までの積算気温480℃でした。

みんなで玉ネギの種まき終了。寒冷紗をかけます。
みんなで玉ネギの種まき終了。寒冷紗をかけます。



さいたま地方、最高気温の積算値の推移、8月7日起点。

(気象庁データより作成)

夏の小松菜、4週間で採れました。

2016/08/21 22:38 に 博康増山 が投稿   [ 2016/08/21 23:01 に更新しました ]

夏は葉物を育てるのに不向き?

そんな事を言わずに試してみようと、
かわぐち菜園クラブで会員の方のリクエストに応じて、
7月17日に小松菜の種まきをしてみました。

約4週間後の8月14日に無事収穫。

もっとも、その前週8月7日~8日頃に収穫した方が、
虫食いや暑さによる「へたり」もなく、
もっと良かったかもと言うのが、
一緒に育てた会員の方とも一致した印象でした。

収穫した時の小松菜の様子
こちらが収穫した時の小松菜の様子。

市販の小松菜は、葉数15~20枚程度のことが
多いですが、
こちらは10~12枚程度でした。

気温が高い分、一枚一枚の葉が急速に大きくなり、
「若い」うちに収穫できるので、
葉は柔らかく、若葉のような色をした状態で
収穫できるのかもしれませんね。

最高気温の積算値(さいたま地方、7月17日起点)
(気象庁データより作成)

7月17日からの最高気温の積算値の推移は、こちら。
収穫適期と思われた8月7日時点で、積算気温675℃、8月14日時点で901℃でした。

お野菜の生育と気象データを比較していくのは面白いですね。


【アグリセンシング】7-8月の気温変化、2011年~2016年を比較する

2016/08/17 23:06 に 博康増山 が投稿   [ 2016/08/17 23:08 に更新しました ]

さいたま地方、7-8月の平均気温5日間移動平均値の推移、2011年~2016年の比較

さいたま地方、7月~8月の気温変化について、2011~2016年で、年ごとにどう違うか比較するグラフを作ってみました。このグラフと毎年の野菜の生育状況を比較していきたいと思います。

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